エンジンオイルのベースオイルとは、添加剤を配合する前の「基油」です。API Group I〜Vは分類であり、数字が大きいほど高品質というランキングではありません。
「鉱物油」「VHVI」「PAO」「エステル」「全合成油」……オイル売り場ではいろいろな言葉を見かけますよね!
違いを理解する第一歩は、エンジンオイルの土台であるベースオイル(基油)と、完成したエンジンオイルの性能を分けて考えることです。
この記事ではAPI(American Petroleum Institute/アメリカ石油協会)の資料を軸に、Group I〜Vの正式な分類条件、Group IIIとPAOの違い、VHVIやGroup III+の位置付け、エステルをどう考えるべきかまで整理します。
さらに現役ディーラー整備士の視点から、「実際に愛車のオイルを選ぶとき、ベースオイルをどの順番で見ればいいのか」までつなげていきますね!
API Group I〜Vの違いとは?
APIではGroup I〜IIIを飽和分・硫黄分・粘度指数(VI)で分類し、Group IVをPAO、Group VをI〜IV以外のベースストックと定義しています。
最初に、この記事で一番重要な違いを表で整理しておきましょう。
| Group | API上の主な定義 | 代表的な理解 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Group I | 飽和分90%未満および/または硫黄分0.03%超、VI 80以上120未満 | 従来型の石油系基油 | 「最低品質」という意味ではない |
| Group II | 飽和分90%以上、硫黄分0.03%以下、VI 80以上120未満 | 高度に精製された石油系基油 | Group Iより飽和分・硫黄分条件が厳しい |
| Group III | 飽和分90%以上、硫黄分0.03%以下、VI 120以上 | 高粘度指数の高度精製基油 | 同じGroup IIIでも物性は一律ではない |
| Group IV | PAO(ポリアルファオレフィン) | 合成炭化水素系基油 | PAO使用=完成油すべて同性能ではない |
| Group V | Group I〜IVに含まれないその他のベースストック | エステル、PAGなど | Group IVより上の「最高ランク」ではない |
この分類の根拠として重要なのが、APIのエンジンオイル認証制度を定めるAPI 1509「Engine Oil Licensing and Certification System」です。
APIは2026年7月にAPI 1509の第24版を公開しています。APIのBase Oil Interchangeability Guidelinesでは、Group I〜IIIの分類に飽和分、硫黄分、粘度指数が使われ、Group IVはPAO、Group VはI〜IV以外とされています。
測定方法も決められていて、飽和分にはASTM D2007、粘度指数にはASTM D2270、硫黄分にはAPIが指定するASTM試験法が使われます。
つまりGroup I〜Vは、メーカーが宣伝のために自由に付ける「高級度」ではなく、ベースストックを性質や種類によって整理する技術的な区分なんです。
ここを最初に押さえておけば、「Group VだからGroup IVより高性能なの?」という大きな誤解を防げますよ!
Group IとGroup IIは何が違う?
Group IとGroup IIの大きな違いは、飽和分と硫黄分の条件です。
Group Iは飽和分90%未満および/または硫黄分0.03 mass%超で、VIは80以上120未満と定義されます。
一方のGroup IIは、飽和分90%以上かつ硫黄分0.03 mass%以下で、VIは同じ80以上120未満です。
「および/または」がポイントです。
Group Iを単純に「硫黄分が多い基油」とだけ覚えると正確ではありません。APIの分類では飽和分と硫黄分の両方が条件に関係します。
Group IIでは高度な水素化処理などによって不要な成分を減らし、酸化安定性などを高めやすくなります。
ただし、これはあくまでベースストックとしての分類です。
「Group IIならGroup Iを使ったすべての完成油より優秀」とまで読み替えることはできません。
Group IIとGroup IIIは何が違う?
Group IIとGroup IIIでは、飽和分90%以上、硫黄分0.03 mass%以下という条件は共通しています。
大きな境界になるのが粘度指数(VI)120です。
Group IIはVI 80以上120未満ですが、Group IIIはVI 120以上になります。
粘度指数とは、温度による粘度変化の度合いを表す指標です。
一般にVIが高い基油ほど、温度変化に伴う粘度の変化が比較的小さい性質を持ちます。
ただし、ここで5W-30や0W-20と混同しないようにしてください。
VIとSAE粘度グレードは別の指標です。
VIはベースオイルなどの温度に対する粘度特性を見る指標。一方の「0W-20」「5W-30」などはSAE J300で定められる完成油の粘度グレードです。
「Group IIIだから5W-30」「PAOだから0W-20」という対応関係はありません。
エンジンオイルのベースオイルとは何をしている?
ベースオイルはエンジンオイルの土台となる基油で、添加剤と組み合わせることで完成した潤滑油になります。
エンジンオイルは、ベースオイルだけをエンジンへ入れているわけではありません。
ベースオイルを土台にして、清浄分散、摩耗防止、酸化防止などを狙った各種添加剤を組み合わせ、製品として必要な性能を作り込んでいます。
資料によっては「ベースオイル約80%、添加剤約20%」といった構成例が示されることがありますが、これは固定された配合比率ではありません。
粘度グレードや要求性能、製品設計によって処方は変わるので、あくまでイメージとして考えてください。
料理でいえば、ベースオイルは主材料に近い存在です。
でも主材料が高価だからといって、完成した料理が必ず目的に合うとは限りませんよね!
エンジンオイルも同じで、ベースオイルだけではなく添加剤を含めた完成油として要求性能を満たしているかが重要です。
ここで整理しておきたいのが、API Group分類、SAE粘度、APIサービスカテゴリー、ILSAC規格の違いです。
- API Group I〜V:ベースストックを分類する
- SAE 0W-20、5W-30など:完成したエンジンオイルの粘度グレードを示す
- API SQなど:完成油に求められる性能カテゴリーを示す
- ILSAC GF-7A/GF-7Bなど:省燃費性を含むガソリンエンジン油の要求性能を定める
この4つは似た場所に書かれているので混同しやすいのですが、見ている対象が違います。
たとえば2025年3月31日からライセンスが始まったAPI SQやILSAC GF-7A/GF-7Bのような新しい規格では、現代のエンジンに合わせた完成油として複数の性能が要求されます。
つまり現在のオイル選びでは、「何のベースオイルを使ったか」だけでは性能を判断できないということなんですね。
Group III・VHVI・Group III+・全合成油は何が違う?
Group IIIはAPIの正式分類ですが、VHVIやGroup III+はAPI Group I〜Vと同じ正式な独立区分ではありません。「全合成油」という商品表示とも分けて考える必要があります。
このあたりから一気にオイル用語が増えるので、迷いやすくなりますよね。
まず基準点にしたいのはAPI Group IIIです。
Group IIIは、飽和分90%以上、硫黄分0.03 mass%以下、VI 120以上というAPI上の条件を満たすベースストックです。
石油由来原料を高度な水素化分解・精製などによって処理し、高い粘度指数や安定した特性を狙った基油が広く使われています。
VHVIとは?
VHVIは「Very High Viscosity Index」の略で、高い粘度指数を持つ基油について業界や製品説明などで使われる表現です。
ただし、API Group分類とは別の呼び方として理解するのが安全です。
「VHVIというAPIの第○Groupが存在する」という意味ではありません。
さらに、同じGroup IIIに分類されるベースストックだからといって、低温特性、蒸発特性、粘度指数など細かな物性まで全部同じになるわけではありません。
APIのGroup分類は一定の条件によって大きなカテゴリーへ分ける仕組みであり、そのカテゴリー内の製品を同一性能にする規格ではないからです。
Group III+とは?
「Group III+」もオイルを詳しく調べると見かける言葉です。
一般には通常のGroup IIIよりさらに高いVIや良好な低温特性などを持つ基油を区別する目的で、業界資料やメーカー側が便宜的に使う場合があります。
しかし、API Group III+という独立した正式カテゴリーがGroup IIIとIVの間に存在するわけではありません。
APIの正式な大分類はGroup I、II、III、IV、Vです。
そのため、
「Group III→Group III+→Group IV→Group V」
という性能ランキングとして覚えないようにしましょう。
GTL(Gas to Liquids)技術によって作られる高性能な基油についても、APIの条件上Group IIIとして扱われるものがあります。
これも「Group III」という名前だけで中身を完全に判断できない例ですね。
Group IIIと全合成油は同じ意味?
ここも分けて考える必要があります。
API Group IIIはベースストックの技術的な分類です。
一方、「全合成油」「Full Synthetic」などは市販される完成油の商品表示として使われる言葉です。
そのため、
全合成油=PAO=Group IV
とは限りません。
市場ではGroup III系基油を主体にしたエンジンオイルが「全合成油」「Full Synthetic」などとして販売されるケースがあります。
また、完成油では複数種類のベースオイルを組み合わせることもあります。
だから僕は、店頭で「100%化学合成」「全合成」「Synthetic」といった文字だけを見てオイルを決めるのはおすすめしません。
まず車両指定と性能規格を確認する。
そのうえで製品データやメーカー説明から、どんな特徴を狙ったオイルなのかを読み取る。
この順番なら、商品名のイメージだけで判断しにくくなりますよ!
Group IIIとPAO・エステルは何が違う?
Group IIIはAPIの物性条件で分類される高度精製基油、Group IVはPAO、エステルはGroup Vに含まれる代表的な基油です。それぞれ得意な性質が異なります。
「Group IIIよりPAOのほうが上?」「PAOよりエステルが上?」と考えたくなるところですが、単純なランキングにはできません。
まずGroup IVから見てみましょう。
Group IVのPAOとは?
PAOはPolyalphaolefin(ポリアルファオレフィン)と呼ばれる合成炭化水素系ベースストックです。
APIではGroup IVとして明確に分類されています。
PAOは分子構造を制御して製造でき、種類や粘度グレードにもよりますが、低温流動性、粘度特性、酸化安定性、蒸発特性などを狙った設計に利用できます。
実際、APIのベースオイル互換性に関する資料でもPAOについて、100℃・40℃・低温域での動粘度、VI、NOACK蒸発性、流動点など複数の物性が確認対象として挙げられています。
ここからも分かるように、「PAO」という一語だけで性能が決まるわけではありません。
PAOにも異なる粘度や物性を持つ種類がありますし、完成したエンジンオイルではGroup IIIやGroup V系基油などと組み合わせる場合もあります。
PAO配合率や処方が分からない製品を、「PAO使用」という文字だけで比較するのは難しいんですね。
Group Vはエステルのこと?
違います。
API Group Vは、Group I、II、III、IVのいずれにも該当しないベースストックをまとめたカテゴリーです。
エステルはGroup Vの代表例としてよく知られていますが、PAG(ポリアルキレングリコール)など、性質の大きく異なるベースストックもGroup Vに含まれます。
ここがGroup分類最大の注意ポイントです。
Group I〜IIIを見ると数字が上がるにつれて精製度やVI条件が変化するため、その感覚のまま「IVよりVのほうが上」と考えやすいんですよね。
しかしGroup Vは「Group IVより高性能」という定義ではありません。
むしろI〜IVに当てはまらない多様なベースストックをまとめた集合と理解したほうが正確です。
したがって、Group V同士であっても一括して同じ性能だとは評価できません。
エステルにはどんな特徴がある?
エステルも一種類の物質ではなく、さまざまな化学構造を持つ大きなカテゴリーです。
種類によっては極性を持ち、金属表面との親和性を利用した潤滑設計などに活用できます。
一方で、低温性、熱安定性、加水分解安定性、シール材料との相性などはエステルの種類や分子構造によって変わります。
そのため、
「エステル配合=必ずPAOより高性能」
という判断はできません。
完成油ではPAO、Group III、エステルなどを組み合わせ、それぞれの特徴を利用する設計もあります。
僕はここを、工具箱に少し似ていると思っています。
高価な工具を一つ持っていれば、すべての整備ができるわけではありませんよね。
必要な作業に合った工具を組み合わせるから仕事ができます。
ベースオイルも「どれが最強か」より、完成油の目標性能を実現するためにどう組み合わせるかという視点で見ると理解しやすくなりますよ!
ベースオイルの品質はGroup番号だけで判断できる?
判断できません。実際のエンジンオイル選びでは、メーカー指定粘度と要求規格を確認したうえで、ベースオイルを比較材料の一つとして見るのが実践的です。
ここは整備士として特に伝えたいポイントです。
整備でエンジンオイルを選定するとき、僕が最初から「PAOかGroup IIIか」を探すことはありません。
最初に確認するのはその車両が要求しているオイルの条件です。
基本的には次のような順番で見ていきます。
- 取扱説明書や整備資料で指定SAE粘度を確認する
- API、ILSACなど必要な性能規格を確認する
- メーカー独自規格や承認指定があれば確認する
- エンジン仕様と車両状態、オイル漏れ・消費などを確認する
- 短距離中心、寒冷地、高負荷走行など使用環境を考える
- 条件を満たした候補の中でベースオイルや製品特性を比較する
この順序にすると、ベースオイルの役割がかなり見えやすくなります。
同じ5W-30ならPAOのほうがいい?
たとえば売り場に2種類の5W-30があり、一方がGroup III主体、もう一方がPAOを使用していたとします。
これだけでは後者を選ぶ根拠として不十分です。
まず車両に5W-30が指定または許容されているか。
そして必要なAPIやILSACなどの規格を満たしているか。
ここを先に確認します。
さらにメーカー独自の承認が必要な車両なら、その条件も重要です。
すべての適合条件を満たした候補が複数残ったところで、低温性能や蒸発特性、使用環境、交換サイクル、価格、ベースオイルなどを比較します。
指定条件を満たすGroup III主体の完成油が、指定条件を満たさないPAO系オイルより適切になることは十分考えられます。
エンジンオイルは「材料の豪華さ」で選ぶものではなく、エンジンが必要としている性能で選ぶものだからです。
整備現場ではどう確認する?
たとえば入庫した車でオイル交換をするとき、同じ「0W-20」と書かれた製品だから何でも同じ、とは判断しません。
車両情報から指定粘度を確認し、要求される性能規格と使用可能なオイルを照合します。
ここで大切なのは、車種名だけで決めず、年式やエンジン仕様まで確認することです。
同じ車名でも世代や搭載エンジンが変われば、指定される粘度や規格が変わる場合があります。
実車ではさらにオイル量も確認します。
交換前の量が明らかに少なければ、単に新油を入れて終わりではなく、外部漏れの痕跡やオイル消費の可能性も意識します。
僕が現場で感じるのは、こうした確認をすると「PAOかエステルか」という問いはかなり後ろに来るということです。
これはベースオイルが重要ではないという意味ではありません。
車両への適合という土台をクリアして初めて、ベースオイルの違いが「より自分の使い方に合う製品を選ぶ比較材料」になるんです。
API SQやILSAC GF-7の時代ほど完成油を見る
近年のエンジンオイルでは低粘度化が進み、0W-20や0W-16などを指定する車も珍しくありません。
そして2025年3月31日には、API SQとILSAC GF-7A/GF-7Bのライセンスが開始されました。
こうした新しい性能規格では、単純に「粘度が合っている」だけでなく、現代のエンジンで求められる摩耗保護、省燃費性、堆積物抑制、低速早期着火(LSPI)への対応など、完成油として複数の性能を成立させることが重要になります。
ここにベースオイルだけを見ない理由があります。
どれだけ魅力的な基油を採用していても、エンジンに要求される完成油規格への適合確認を飛ばすことはできません。
反対にGroup III主体であっても、指定粘度と要求性能を満たし、その車の使われ方に適した完成油なら合理的な選択肢です。
ベースオイルは性能を作る重要な材料ですが、規格は完成したオイルが要求性能を満たすかを見る物差しです。
この2つを分けて理解すると、エンジンオイル選びがかなり分かりやすくなりますよ!
整備士が考えるベースオイル選びのポイントは?
僕はベースオイルを「最高級オイルを探すランキング」ではなく、適合する完成油同士を比較するための知識として使うのが一番実用的だと考えています。
ここからは、APIの分類そのものではなく僕の考察です。
オイルについて調べていると、
「鉱物油より全合成油」
「Group IIIよりPAO」
「PAOよりエステル」
というように、一直線の序列で紹介されることがあります。
確かに分かりやすいのですが、APIの正式な分類を知るほど、この説明だけでは足りないことが見えてきます。
Group VはGroup IVの上位等級ではありません。
Group IIIにも異なる物性のベースストックがあります。
PAOにも種類があり、エステルも一種類ではありません。
そして完成したエンジンオイルでは、複数の基油と添加剤が組み合わされています。
だから僕なら、「Groupはいくつ?」より先に「この車が何を要求している?」を確認します。
そのうえで適合する製品が複数あれば、ベースオイルの特徴を比較する。
この順番が一番迷いにくいと考えています。
ベースオイルは「最後の比較軸」にすると分かりやすい
たとえば同じ指定粘度・同じ要求規格を満たすオイルが複数あり、どれを選ぶか迷った場面を考えてみましょう。
そこで初めて、
「低温環境を重視したい」
「高温・高負荷で使う機会がある」
「蒸発特性も比較したい」
「交換費用とのバランスを取りたい」
といった自分の条件に合わせて、製品データやベースオイルの特徴を比較する意味が大きくなります。
これは単純な「高級オイル選び」とは違います。
自分の車に適合する候補を先に作り、その候補の中から使い方に合う一本を選ぶという考え方です。
この順番なら、Group III主体のオイルを必要以上に低く評価することも、PAOやエステルという言葉だけで必要以上に期待することも減らせます。
スポーツ走行でもエステルなら正解とは限らない
スポーツカーやサーキット走行の話になると、PAOやエステル、高粘度オイルが注目されやすくなります。
高温・高負荷環境では油温や油膜、酸化安定性などへの要求が厳しくなるため、ベースオイルの特徴を検討する意味は確かに大きくなります。
ただし、「スポーツカーだからエステル」「サーキットだから10W-60」のように車両条件を無視して決めることはできません。
純正エンジンなのか、チューニングされているのか。
メーカーがどの粘度を指定しているのか。
実際の油温はどの程度なのか。
街乗りとの兼用なのか。
条件によって答えは変わります。
個人的には、ベースオイルを勉強する最大のメリットは「一番高そうなオイル」を探せることではなく、宣伝文句を一度分解して、自分の車に必要な性能を考えられるようになることだと思っています。
「PAO配合」と書かれていたら、そこで判断を終えない。
「どんな粘度?」「どの規格?」「自分の車に適合する?」「どんな用途を想定した製品?」と一段深く見る。
この習慣が付けば、オイル選びはかなり面白くなりますよ!
僕が大切にしている考え方を一言でまとめるなら、
オイルをエンジンに合わせるのであって、エンジンをオイルの宣伝文句に合わせない。
これです。
エンジンオイルのベースオイルとは?まとめ
エンジンオイルのベースオイルとは、添加剤と組み合わせて完成油を作る土台となる「基油」です。
API Group I〜Vを理解するときは、次のポイントを押さえておけば迷いにくくなります。
- Group I〜IIIは飽和分、硫黄分、粘度指数などによって分類される
- Group IIIは飽和分90%以上、硫黄分0.03 mass%以下、VI 120以上
- Group IVはPAO(ポリアルファオレフィン)
- Group VはGroup I〜IVに含まれないベースストックの集合で、エステルだけを意味しない
- Group VはGroup IVより上の「最高品質ランク」ではない
- Group III+はAPI Group I〜Vと並ぶ正式な独立分類ではない
- 全合成油という商品表示だけからPAO主体と判断することはできない
そして実際のオイル選びでは、指定粘度→要求規格→車両状態・使用環境→ベースオイルという順番で考えるのがおすすめです。
Group III、PAO、エステルにはそれぞれ特徴がありますが、ベースオイルだけで完成したエンジンオイルの性能は決まりません。
API 1509の分類を知る目的は、Group番号の大きさを競わせることではなく、オイル缶に書かれた言葉を正しく読み解くことです。
次に同じ0W-20や5W-30が何種類も並んでいて迷ったら、まず愛車の指定条件を確認してみてください。
その条件を満たしたオイル同士でGroup IIIやPAO、エステルなどの違いを比べれば、ベースオイルの知識を本当の意味でオイル選びに生かせますよ!
よくある質問
API Group I〜Vは数字が大きいほど高品質ですか?
いいえ。Group I〜IIIには組成や粘度指数による分類条件がありますが、Group IVはPAO、Group VはI〜IV以外という種類による分類です。特にGroup Vは「最高ランク」という意味ではありません。
Group IIIとPAOはどちらが高性能ですか?
単純には決められません。PAOはGroup IVに分類され、低温性や酸化安定性などを狙った設計に利用できますが、種類や粘度によって物性は異なります。エンジンオイルとしては添加剤、SAE粘度、API・ILSACなどの要求性能を含めた完成油で比較する必要があります。
全合成油ならPAOやエステルが使われていますか?
必ずしもそうとは限りません。市場ではGroup III系基油を主体とした製品にも「全合成油」「Full Synthetic」などの表示が使われる場合があります。ベースオイル構成を知りたい場合は、商品表示だけで断定せずメーカーが公開する製品情報を確認しましょう。

コメント