モチュールのエンジンオイルは、製品によってVHVI(Group III)基油やエステル系技術を使い分けています。大切なのは「モチュール=すべて高級基油」ではなく、用途ごとの設計を見ることです。
モチュールはVHVIを使っている?答えは製品によって異なる
モチュール(MOTUL)のエンジンオイルについて調べると、「エステルを使った高性能オイルメーカー」という印象を持つ人も多いよね。
特にモータースポーツ愛好家から支持される「300V」は、モチュールを代表するプレミアムオイルとして知られています。
一方で、モチュールのラインアップには、日常走行や業務用途を意識した製品もあり、その中にはVHVI(Very High Viscosity Index)と呼ばれるGroup III基油を採用したものがあります。
つまり結論は、モチュールはVHVIを採用する製品もあり、エステル技術を重視した製品もあるということです。
エンジンオイルを選ぶとき、「どこのメーカーか」だけで判断すると、本来の性能を見落としてしまうことがあります。
同じメーカーでも、街乗り向け、長距離走行向け、高負荷走行向けでは、求められる性能が違うからです。
VHVIとは?Group III基油の特徴を分かりやすく解説
VHVIとは、Very High Viscosity Indexの略で、日本語では「高粘度指数基油」と表現されます。
API(アメリカ石油協会)のベースオイル分類ではGroup IIIに分類される基油です。
簡単に説明すると、原油を高度な水素化精製処理によって不純物を減らし、温度変化による粘度変化を抑えた高品質な基油です。
昔ながらの鉱物油と比べると、低温時の流動性や酸化安定性などが向上しています。
VHVIの主な特徴は以下の通りです。
- 温度変化による粘度変化が少ない
- エンジン内部の汚れを抑えやすい
- 耐久性とコストのバランスに優れる
- 現代の省燃費エンジンにも対応しやすい
ここで勘違いされやすいのが、「Group IIIだから性能が低い」という考え方です。
現在のVHVIは製造技術の進歩によって性能が大きく向上しています。
実際、多くの純正エンジンオイルや市販高性能オイルでもGroup III系基油が使われています。
筆者としては、基油の分類だけで優劣を決めるのではなく、最終的なオイル設計を見ることが重要だと考えています。
モチュール H-TECH 100 4TはVHVIを採用している?
モチュール製品の中でVHVI採用例として注目されるのが「H-TECH 100 4T」です。
2025年3月に公開された使用レビューでは、MOTUL JAPANへ問い合わせた結果として、H-TECH 100 4Tについて「原油を高度に水素化精製処理したVHVI(Group III)」との回答が紹介されています。
この情報から分かるのは、モチュールがすべての製品でエステルやPAOだけを使っているわけではないということです。
H-TECH 100 4Tは、バイクショップなどでも使用される業務用途向けオイルとして展開されています。
レビューでは、ホンダSL230への使用例として、
- シフト操作がスムーズになった印象
- エンジン回転が軽く感じられる
- 静粛性や滑らかさを感じた
といったフィーリングが紹介されていました。
もちろん使用感は車両状態や走行環境によって変わります。
ただ、この事例が示しているのは、VHVIを使ったオイルでも、実際の走行環境で十分な性能を発揮できるという点です。
出典:TMAX530 BIKE TOURING BLOG 3 (^-^)/! 『【オイル】「MOTUL H-TECH 100 4T」First impression(^-^)/』 https://ameblo.jp/bmx525type3/entry-12888448599.html
モチュール300VはVHVIではなくエステル技術を重視したオイル
モチュールを代表する300Vシリーズは、H-TECH 100 4Tとは方向性が異なります。
300Vはモータースポーツや高負荷走行を意識したシリーズで、「エステル・コア・テクノロジー」を特徴としています。
エステルは一般的な鉱物系基油やVHVIとは異なる特徴を持つ基油成分です。
分子構造による油膜保持性や金属表面へのなじみやすさが特徴として挙げられます。
過去の300Vシリーズ代表例では、以下のような性能値が公開されています。
- 300V Le Mans 20W-60:粘度指数162、HTHS粘度7.2
- 300V Competition 15W-50:粘度指数154、HTHS粘度5.3
- 300V Power Racing 5W-30:粘度指数162
HTHS粘度とは、高温・高せん断状態での油膜保持性能を見る指標のひとつです。
サーキット走行など、エンジンに大きな負荷がかかる環境では重要になります。
ただし、数値が高いオイルほど、すべての車に最適というわけではありません。
一般的な通勤や買い物では、メーカー指定粘度や規格に合ったオイルを使うことが、エンジンを長く維持する基本になります。
なぜモチュールはVHVIとエステルを使い分けるのか?
モチュールが複数の基油を使い分ける理由は、性能だけでなく用途や価格とのバランスを考えているためです。
例えば日常走行向けのオイルでは、VHVIを使うことで高い性能と扱いやすい価格を両立しやすくなります。
一方で、競技走行や高温環境では、エステルなどの特徴を活かした設計が求められます。
それぞれの基油には得意分野があります。
- VHVI:性能とコストのバランスに優れる
- PAO:低温流動性や化学的安定性が特徴
- エステル:油膜形成や密着性などが特徴
オイル作りは「一番高価な材料を使えば最高」という単純なものではありません。
エンジンの使われ方に合わせて、基油や添加剤を組み合わせることが重要です。
モチュールの基油選びで確認したいポイントとは?
モチュールのエンジンオイルを選ぶ場合、「VHVIなのかPAOなのか」だけを見る必要はありません。
確認したいポイントは以下です。
- 車両メーカー指定の粘度
- APIやACEAなどの規格
- 普段の走行環境
- エンジンの状態
- 街乗り中心かスポーツ走行中心か
例えば毎日の通勤や買い物が中心なら、VHVIベースのオイルでも十分な性能を発揮できる可能性があります。
逆に、高回転を多用する走行やサーキット走行では、300Vのような高負荷用途向けオイルを選ぶ理由があります。
オイル選びで大切なのは、価格やイメージではなく「愛車の使われ方との相性」です。
モチュールのVHVI採用が示すエンジンオイル業界の変化
筆者が注目したいのは、現在のエンジンオイル業界では「Group IIIだから低性能」という考え方が当てはまりにくくなっていることです。
以前は、PAOやエステルを使ったオイルこそ高性能というイメージが強くありました。
しかし現在は、水素化精製技術の進化によってVHVIの性能も大きく向上しています。
省燃費性能や長寿命化が求められる現代の車では、バランスの良いGroup III基油が重要な役割を担っています。
個人的には、オイル選びで最も避けたいのは「高級基油だから安心」「安い基油だから低性能」と決めつけることだと感じています。
エンジンオイルは、基油・添加剤・粘度・規格を組み合わせた総合設計の商品です。
モチュールのように幅広い製品展開を行うメーカーを見ると、その考え方がよく分かります。
まとめ:モチュールはVHVIもエステルも使い分けるメーカー
モチュールはVHVIを使っているのかという疑問への答えは、「製品によって採用している」です。
H-TECH 100 4TのようにVHVI(Group III)を採用する製品がある一方で、300Vのようにエステル技術を特徴とする高性能シリーズも存在します。
重要なのは、VHVI・PAO・エステルのどれが一番上なのかを決めることではありません。
愛車の使用環境に合わせて、適切なオイルを選ぶことです。
基油の違いを知ることで、オイル選びはもっと楽しく、そして納得できるものになります。
よくある質問
モチュールのオイルはすべてエステル製ですか?
いいえ。300Vのようにエステル技術を特徴とする製品もありますが、H-TECH 100 4TのようにVHVI(Group III)を採用する製品もあります。
VHVIはPAOより劣る基油ですか?
一概には言えません。VHVIは高度な精製技術によって性能が向上しており、用途によっては十分な性能を発揮します。
モチュール300Vは普段使いの車にも向いていますか?
使用環境によって異なります。高負荷走行を想定した製品なので、一般走行では車両指定規格に合ったオイルを選ぶことも大切です。

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